ここでは一風変わった練習についてお話させていただきます。
■クロストレーニング
クロストレーニングとは専門競技以外の競技を、専門競技のパフォーマン
ス向上を目的として行うことです。たとえば、バレーボールプレーヤーが
ジャンプ力を向上させるためにウェイトリフティングを行ったりすること
です。
※余談
オリンピックに出場するレベルのウェイトリフティング選手は、バレー
ボールやバスケットボールの選手よりも垂直とびの数値が高いことがあ
ります。
単一動作の反復は、オーバーユース(使いすぎによる怪我)の原因になりや
すいですが、クロストレーニングを取り入れることによって、予防するこ
とができます。また、ケガをして専門の競技のためのトレーニングができ
なかったり、オフシーズンにフィットネスレベルを維持するために行うト
レーニングとして有効です。
プロゴルファーの倉本選手は、オフシーズンに下半身強化を目的としてス
キー合宿を行っています。バレーボールで言うと旧ソ連の代表チームはサ
ッカーを行っていました。また、女子プロテニスプレーヤーのマルティナ・
ヒンギス選手は、乗馬をトレーニングに取り入れていたそうです。(97
年に落馬してひざを故障したこともありますが・・・)もっとも、ヒンギ
スの場合は、飽きっぽくてわがままなヒンギス選手のフィットネスレベル
を少しでもアップさせようという親やコーチの苦肉の策なのだそうです。
ヒンギス選手でなくても、毎日同じ練習メニューじゃ飽きることもありま
すよね。そういうときに、このクロストレーニングは効果的です。
ただ、慣れない動きで怪我をするリスクは付き纏います。あるアメリカの
データによると、7年間にわたり68名の女子水泳選手を調べたの結果、
ケガの44%がクロストレーニングによるものということだそうです。まあ、
水泳は特にクロストレーニングの頻度が高い競技ではあるんですが・・・
■競技独特のリズムを養う
ボクシングのトレーニングは、3分行って、1分休みが原則です。これは、
実際の試合のラウンドにあわせて行っている一種のインターバルトレーニ
ングです。
特に球技はずっと動きっぱなしという種目はあまりないので、動いて休ん
でを繰り返すという特色があります。ラグビーは平均すると10秒間目い
っぱい動いて50秒休みなのだそうです。常勝軍団神戸製鋼の牙城を崩し
たサントリーはこれに着目し、全力運動と弛緩運動を1:3から1:5の
割合で行うインターバルトレーニングを徹底しました。
バレーボールも、ラリー以外の時間はほとんど休んでいます。インターバ
ル時間を計測したデータがないので感覚的な話になりますが、10〜20
秒動いて30秒くらい休みといったところでしょうか?フォーメーション
やコンビの練習などでは難しいですが、筋トレなどにインターバルトレー
ニングを取り入れてみてはいかがでしょうか?
■感覚を養うトレーニング
ソウルオリンピックの陸上短距離の大沢選手は、腰にゴム製のベルトをつけ、
それをバイクで引っ張ってもらい、自分の能力以上の速さで走る練習をして
いました。自分の知らないスピード感を体感し、潜在能力を引き出すトレー
ニングです。
バレーボールでも、以前NECが、垂直とびのときに補助者に腰を支えても
らい、自分の最高到達点以上の高さまで押し上げてもらうトレーニングを行
っていました(今はやっているかどうか・・・)
■風変わりなトレーニング
現在ではメンタルトレーニングが科学的に行われつつありますが、以前はメ ンタル面の強化のためいろいろなことが行われていました。
東京オリンピックのレスリング日本代表は、動物園のライオンとにらみ合い
をすることによって、精神面の強化を試みました。結果は金メダルラッシュ
だったのですが、このトレーニングのおかげかどうかは定かではありません。
この他にも、ソウルオリンピックのハンドボール代表チームは、自衛隊の落
下傘部隊に体験入隊し、落下訓練を受けたそうです。結果は予選落ちだった
そうですが・・・
格闘技系にはこのような事例がたくさんあります。極真空手の大山倍達氏が
牛と戦ったり、プロレスのジャイアント馬場さんが、宿敵フリッツ・フォン
・エリックのアイアンクローに打ち勝つため、地中深く体を埋めてもらい、
額だけを地面から出して、車に轢いてもらうなど、枚挙に暇がありません。
■おわりに
今回は、一風変わったトレーニングについてお話させていただきましたが、
いかがでしたでしょうか。学生スポーツは学問とスポーツを両立させなけれ
ばならないため、練習時間が限られていることと思います。短時間の中でで
きる練習もまた限られています。
時間を有効に使うために、それぞれの指導者やプレーヤーが試行錯誤しなが
ら練習メニューを考えていることと思いますが、練習のための練習にならな
いためにもそういった努力は必要だと思います。オリジナリティーあふれる
メニューでみんなが興味を持って集中して行えば成果は上がると思います。
みなさんも楽しく効果的なメニューを考えてみてください。