■学校開放
大阪府池田市小学校に侵入した男が、児童や教師を次々と刺し、 八人を死亡させるという、なんとも悲しい事件が起きました。 子を持つ親として、また社会の一員として絶対に許すことのでき
ない事件です。
一昨年は、京都の小学校グランドで遊んでいた児童が、ナイフで 首を切りつけられ死亡する事件がおき、昨年は、和歌山県の中学 校教室で、クラブの練習を終え、着替えていた生徒が、侵入して
来た男に包丁で切り付けられ、怪我をする事件がありました
世界日報
によると、 昨年一年間に学校内(小中高、大学など)で起きた強盗などの凶 悪事件は75件、うち殺人事件は前年より4件多い9件だったそうで、学校のセキュリティーや管理体制強化の必要性が叫ばれてい
ます。 前出の京都の事件の後、文部科学省は全国の小中学校や高等学校 に安全管理マニュアルを通知しましたし、今回の大阪の事件で新たに、再発防止の対応策を各都道府県教育委員会などに通知しま
した。
その一方で、「開かれた学校」づくりが文部科学省の指導で進め られています。日本では、原則として自宅から歩いていける距離 に小中学校があります。そして、その学校には体育館があり教室があります。近年は少子化により使用しない教室が出てきました。
また、週休2日制の導入により、土日は学校を使わなくなります。 この空いた施設を、生涯学習の場として、また、地域コミュニティー の拠点として有効活用していこうという趣旨です。
皆さんの中にも、「学校開放」を利用して、バレーボールの活動を行っている方も多いと思います。企業スポーツの崩壊もあいまっ て、文部科学省は学校施設を中心とした「日本型地域スポーツクラブ」を「スポーツ振興基本計画」として打ち出しています。
以下は文部科学省の「スポーツ振興基本計画」抜粋です。
我が国では、身近な生活圏である中学校区程度の地域において、学校体育施設や公共スポーツ施設を拠点としながら、地域の実情に応じて民間スポーツ施設も活用した、地域住民の誰もが参加できる総合型地域スポーツクラブが定着することが適当と考えられる。
今後、「防犯」と「開かれた学校」との兼ね合いで対応に苦しむ 学校も出てくると考えられます。つまり、「防犯」のためには 「閉ざされた学校」が一番都合がよいのですが、地域社会のニーズや文部科学省は「開かれた学校」を求めているので、人的警備
や防犯設備の設置を強いられるのです。
和歌山大教育学部付属小の校長先生が「学校開放には(安全策などの)コストは必ず伴う」と新聞で話していますが、安全面を含 めた学校開放管理運営の活動には、安定した資金リソースや人員
が必要です。これらを準備できないため、学校開放に二の足を踏む学校が出てきてもおかしくありません。
実際、毎日新聞の「小 学校殺傷事件:解放・安全管理について校長アンケート」で、 「正門が国道に面しており、車で入りやすい。登校後の閉門を考
えたい。」という回答もあります。
現在でもすべての自治体で学校開放が行われているわけではありません。北海道教育委員会による「今後の学校開放の在り方」
によると、
小・中学校では、まったく施設開放をしていない市町村は(201のうち)11であったが、その理由について、最も多かったのが、施設管理や教職員の負担等を含む「管理・運営体制」であった。
として、「管理・運営体制」の問題から、学校開放を行っていな い自治体があることを論じています。 また、同レポートで、学校開放を行っている市町村の約半数は、
管理・運営を「学校の教職員が担当している」との報告もあります。
しかし、放課後や休日の人的警備や施設管理は、教職員の本来的な業務ではありません。更なる安全のために、更なる教職員への負担が増えるのでは「学校開放はやめます」ということになってしまいます。
教職員の負担を軽減しつつ安全性を高め、学校開放を存続発展さ せていくためには、学校外の協力が必要です。
自治体の中には 「学校開放事業」等の名称で、行政が学校開放の運営に携わって いるところもあります。行政の支援は非常に大切なことです。しかしそれでも安全確保に資金と人員が足りないのであれば、学校開放利用者も積極的に協力すべきだと思います。
現在は利用料金無料のところが多い学校開放ですが、登録料や会費・利用料などを徴収したり、役務の提供などを利用者にお願い しても良いのではないでしょうか。いわば、受益者負担ですね。
横浜市磯子区のママさんバレーの大会は、大手電機メーカーの工場にある体育館を使用しています。メーカーは体育館を(たぶん)無料で使用させる代わりに、大会参加者全員に敷地内の草むしりやトイレ掃除をしてもらっています。
こういったことを学校開 放で行っても良いと思います。 「学校開放利用者や学校を中心とした管理運営組織」を立ち上げ、 スポーツだけでなく文科系サークルなどと共同で運営にあたり、
各サークル同士、また児童との相互交流を深め、学校開放を維持 していけば、その学校は、地域コミュニティの核としての学校であり、学校開放の管理運営組織は、文部省の提唱する「総合型地
域スポーツクラブ」にほかなりません。