■はじめに
真夏のスポーツでは「熱中症」に気をつけないと死に至ることさえあります。
■熱中症の事故例
2000年8月14日 高校野球の試合中、ピッチャーが熱中症で倒れることがありました。ご覧になっていた方、ニュースなどで見聞きした方も多いと思います。
大分県代表の中津工エースの長谷川投手は強豪日大豊山を相手 に、7回まで4安打1失点に抑えていましが、8回一死一塁の場面で、突然マウンドでうずくまってしまいました。両足がケイレンし、満足に立っ
ていられなくなったので、一旦ベンチに戻り手当を受け再登板したのですが、3連続長短打を浴び降板しました。
試合後、両足と手の痛み、頻脈と体温の上昇が見られることで「水分の摂取不足による熱中症」と診断され、球場併設の診療所で、水分補給などの
手当を受けたのですが、症状が収まらないため、救急車で大きな病院へと搬送され、点滴治療を受けました。
検査の結果、「一日は安静が必要」と診断がなされたそうです。長谷川投手は試合中、「バテると思って」うがいをする程度で水は飲んでいなかったそうです。
高校野球連盟では熱中症対策として、昨年からベンチに飲用の生理食塩水などを用意し、大会前に出場校の責任教師、監督を集め、試合中の水分補給を励行するようによびかけていたにもかかわらず、徹底されていませんでした。
熱中症は、最悪死に至るものですから、プレーヤーや指導者は常に意識しておかなければなりません。特に子供は耐熱性が弱い上、自分から体調の変化を言い出さないことが多いので、動きを観て察知したり、水分補給のための休憩をこまめに入れてやることが大切です。
■熱中症とは
神奈川県体育協会が出している「スポーツ医科学ハンドブック
」による と、スポーツ活動中における重症事故のなかで熱中症は多く、毎年死亡事
故の上位を占めているそうです。熱中症は発祥の仕方、程度により4段階に分けられ対処の仕方もそれぞれ違うのですが、一言で言うと「高温・多湿・無風・直射日光により、体温が一定以上となった状態」のことをさし
ます。
■体温調節のメカニズム
運動したときの体温上昇を抑える機能は2つあります。ひとつは、皮膚表面から大気への輻射熱、もうひとつは、発汗による気化熱です。気温が低
ければ体温との差が大きくなるので皮膚から大気へ熱が移り体温上昇が抑えられます。また湿度が低いと多くの汗をかくので気化熱により体が冷や
されます。これをみると、高温・多湿が体温調節のメカニズムを狂わせている原因であることがわかります。
■熱射病の分類
先にお話した通り、熱射病は発症の仕方、程度により4つに分けられます。
- 熱失神
暑さで血管が拡張し、血圧が下がり、めまいや失神がおこる。
- 熱けいれん
大量発汗により、血液中の塩分濃度が低くなり筋肉のけいれんを起こす。
- 熱疲労
大量の発汗による脱水症状で、脱力感・倦怠感・めまい・頭痛・吐き気を起こす。
- 熱射病
体内の熱が放散されず、体温が上昇し、脳温度が40度を越える。めまい・頭痛・吐き気などから始まり、意識障害をおこしたり、最終的に呼吸停止
に至ることもあります。
■対処法
上記【1】【2】【3】の場合は、風通しの良い涼しい場所で足を高くし安静にさせます。気分が悪くなければスポーツドリンクなどを飲ませます。
【4】の場合は、同じく風通しの良い涼しい場所で頭を高くし安静にさせます。まず体を水で冷やし、首・腹・脇・足の付け根など、大きな動脈の
部分をアイシングします。 特に【4】の熱射病は、進行性があるので、体温が高く意識がもうろうとしている場合は、速めに救急車を呼んだほうが良いでしょう
■予防法
- 環境を把握する
夏の体育館は暑く、通気、通風性がよいとはいえません。このような環境下で、多数の人間が運動をすると、気温、湿度は上昇し、熱中症を起こし
やすくなります。水分補給を積極的に行うのはもちろんですが、暑いときは休息も多く入れ、あまりにも暑いときは激しい運動は中止するといった
措置も必要です。
- 水分補給
バレーボールはすごく汗をかくスポーツです。トップレベルでは試合中に5リットルもの汗をかくとも言われています。そのため、水分補給はかか
せません。運動中にのどが渇いたと感じたら、すでに脱水症状の始まりで衰弱しつつある段階といえます。練習や試合の合間には自由に水分補給で
きる環境を作るべきです。また、汗をかくと、同時に塩分も対外に放出されるので、塩分の補給もかねて、スポーツドリンクを飲むのも良いでしょ
う。ただ、この場合、あまり多くのブドウ糖が入ったものだと、エネルギーである脂肪の燃焼を妨げ、返って疲労を起こしてしまいますので、水
と併用するか、ブドウ糖の少ないタイプを選ぶと良いと思います。
- 服装
石川県野球連盟の審判は網タイツをはいているそうです。これは、服が密着するのを防ぎ、服と体の間に空気を通すようにして、熱を効率良く逃が
すようにするためです。服が密着していると体温の放出の妨げとなるので、吸湿性があり、体に貼りつきにくい素材の衣服であることも重要で
す。また、汗はこまめにぬぐってください。玉のような汗は蒸発しにくく放熱性が悪いからです。着替えをたくさん用意しておいて、休憩ごとに替
えるようにすると、フライングするたびにモップで床を拭く煩わしさも減り、熱中症も防ぐことが出来ます。
■おわりに
以前は、「運動中に水を飲むとばてる」などと言われていましたが、最近では、水分補給の重要性が一般のアスリートにも認知されてきました。そ
れでも冒頭にある通り甲子園に出場するようなレベルの高いところでも十分に理解されているとは言いがたい現状もあります。「知らなかったから
死んでしまった」ということの無い様、指導者もプレーヤーも気をつけて暑い夏を乗り切ってください。
【参考資料】