1964年の東京五輪女子バレーボール決勝日本対ソ連では66 ・8%の視聴率を誇ったバレーボールですが、全日本の低迷やバ
レーボールそのものの人気の低下からバレーボールの放映が少な くなっていました。
ワールドカップやオリンピック予選を中継しても「日本が負ける」 →「視聴率低下」→「バレーボールの人気低下」という負のスパ
イラルを描き、テレビ局はバレーボール中継に二の足を踏むよう になりました。 また、視聴率や人気のほかに、バレーボールの質が変わってきたのも、テレビ中継をしづらくなったひとつの要因です。
ラリーポ イントが導入される以前の話ですが、選手の高身長化でサーブブ ロックが有効に機能するようになり、低く強いサーブはシャットアウトされ、ブロックの上を越えるサーブはイージーサーブになってしまい、サーブ権を持ったチームが得点しにくくなり、ゲーム
の長時間かが進みました。プレーする選手にとっては白熱した攻防ですが、中継するテレビ局にすれば、放送枠を何時間取ればいいのか分からない厄介なスポーツになっていたのです。
プロ野球も同じく、何時間かかるか分からないスポーツですが、 高視聴率を誇ったころは、試合終了まで中継を延長していたこともありました。しかし、視聴率が低下した昨今、最大30分の延
長で終了するようになりました。「ここで一打出れば同点ですが、 残念ながら放送時間があと1分となってしまいました・・・」って やつです。
野球の話は余談になってしまいましたが、テレビ局としては、バレーボールは中継しづらいスポーツではあるけれど、ポピュラーで魅力のあるスポーツとして、放映コンテンツとしての潜在的価値は認めていました。
そこで、テレビ局は、「なんとか90分から120 分で1ゲームが終わるように工夫して欲しい」と協会に申し入れました。これを受け、 バレーボール側は、「サーブブロックの禁止」「ラリーポイント
制の導入」「サーブのネットイン」と次々にルールを改正しました。ルールの改正については、テレビ中継以外の理由もあった模 様ですが、テレビ局からの申し入れも大きな要因だったことは推
測に難くありません。
このときのルール改正が物議をかもしたの は記憶に新しいことと思います。 では、ルール改正の後、本当に試合時間が短くなったかどうかを見ていきましょう。ルール改正前の95年ワールドカップ女子の平均試合時間は、1時間21分。2001年のグラチャン(前半の6試合ですが)の平均は、1時間45分です。平均時間だけを見ると20分以上も
長引いています。
「テレビ局の思惑は外れたか?」と見て取れますが、必ずしもそうではありません。今回のグラチャンでの最短試合は1時間22分、最長で1時間58分と、30分強の違いしかありませんが、95年ワールドカッ
プは最短ゲームで39分、最長で2時間12分と、1時間半以上の開きがあります。 ラリーポイント制のもとでは、実力差があっても、ある程度相手のミスなどで得点が取れ、ボロ負けというのがあまりありませんが、サイドアウトのそれでは、実力差があると国際レベルでも
15-3とかワンサイドゲームになってしまいます。逆に、実力が拮抗しているとサーブ権は移動するが得点は取れない長期戦にもつれこみます。
試合ごとにこんなに時間の差があっては、テレビ局としてはたまっ たものではありませんね。 おそらく、テレビ局はどの試合も平均的に90分から120
分で1ゲー ムが終わることを望んだのだと思われます。そういう意味ではルー ル改正は成功しています。
グラチャンの一試合あたりの両チーム総得点の平均は、185点です。 これを90分で換算すると、1得点あたり30秒弱です。しかもこの時
間には得点が決まってから次のサーブに移行する時間も含まれて います。これ以上試合時間を短くするためには、25点制を20点に するというようなことしかありません。しかし、それでは駆け引
きとかベンチワークの妙などがなくなってしまいます。ルールの改正による時間短縮はこれが限界でしょう。
今回の日本テレビの中継は、編集を多用して90分番組に収めています。あまり違和感もないので、今後はこのパターンの中継が多
くなりそうです。7時開始のゲームを8時から放映するというのも、 仕事をする人間にとってはありがたいものでもあります。