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■指導者の法的責任
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皆さんは、以下の判例についてどう思われますか?

昭和42年7月1日午後、東京都某小学校体育館においてPTA会員が9人 制バレーボールの練習中、セミタイトスカートのまま参加していた前衛ラ イトの位置にいたアタッカーが打球(スパイク)後転倒し、反対側コート の前衛レフトの位置にいたブロッカーの右ひざ部に衝突し、原告は瞬間 失神状態に陥り、右足膝内傷の障害を受け、右足膝間接屈折不能の後遺症 については完治の見込みは全く立たなくなった。

判りにくい文章ですが、まあ、要約すると、バレーにふさわしくないと思 われるセミタイトスカートをはいたプレーヤーが、スパイク後こけて、 相手チームのブロッカーにぶつかって、膝にひどい怪我を負わせたという事です。 これは実際にあった事故で、この件に関し、怪我を負ったブロッカーは、 セミタイトスカートをはいたアタッカーを訴えました。 もし、皆さんが怪我をした当事者だとしたら、あるいは、怪我をさせた側だとしたら。もしくは現場を管理する指導者だったとしたらどうしますか?

この例の時、訴えた側はセミタイトスカートを着用していた過失責任を以下のとおり追及しました。

  1. バレーボールという競技特性から、競技に参加するものは足の動きが自由なショートパンツあるいはズボン等を着用する義務がある。
  2. それにもかかわらず、上記義務を怠りセミタイトスカートで参加したため、足の自由をスカートに奪われ、勢い余って転倒し、怪我を負わせた。
  3. しかも、下手なのに高度な技術を要する前衛のポジションについた。

訴えた人の気持ちはわかります。セミタイトスカートをはいた下手な アタッカーに大怪我を負わされたんですからね。 でも、この訴えについて裁判所は、「スポーツに参加するものは通常予測 され許容される動作に起因する危険にはあらかじめ受任して加害行為を受諾しているものである」として、以下のように判決しました。

  1. ルールに著しく反しない限り、ある程度の怪我をさせたりさせられたりすることは、参加者全員が承諾しているはず。だから、過失の有無を論ずるのは適切でない。
  2. セミタイトスカートはバレーにふさわしくない服装である事は確かで、 今回転んだのも、スカートが原因と言えなくもないが、怪我をした方も、 事前に「スカートでの参加を認めてください!!」などと言ったわけでもなく、 暗黙の承諾をしたのと同じだから、訴えは退けられるべきだ。
  3. ということで、裁判所が判断するまでもなくこの訴えは棄却します。

結局、裁判所は、「社会的相当の許された危険を受忍している」として、 「ある程度の危険は承知の上スポーツしてるんでしょ?お互い様じゃん」と訴えを退けたたのです。 これは、「危険同意(引受)の法理」といって、むかしは、スポーツ中の事故について過失をあまり問わない傾向にあった典型的な例です。

指導者の管理責任についても同様に、「事故は注意しても起こるもの」と、あまり厳しく責任を追及しない傾向にありました。 しかし、最近は「スポーツは安全が基本」として、過失を問う傾向にあります。今回例示した判例も、昭和42年だったから棄却されたわけで、 現在なら、加害者だけでなく、スカートを黙認した指導者も責任を問われるはずです。 また、以前は過失の立証を被害者が行っていたのですが、近年では加害者側に立証させる事が多くなっています。 善意による無償のボランティア指導者だからといって、責任を免除されるものではありません。まさに、高度な安全配慮義務が求められている時代なのです。

老若男女すべてが安心して、事故もなく、楽しくプレーできるよう、指導者は常にその責任=義務を自覚しなければなりません。その義務を法的に見ると「意識を集中させて結果(事故)発生を予見し,それに基づいて結果発生を回避するという注意義務」ということになります。

事故発生を予見するためには、個人の身体問題(運動能力、体質、持病、運動歴・・・)や施設や用具の状態を把握し、事故が起こる可能性がないか、起こるとすればどのような事故かをチェック(予見)します。その上で事故発生を回避出来るプログラムを立てなければなりません。

参加者の安全を守ることが一番重要なことですが、スポーツ事故における裁判所の判決は指導者に対して厳しいものがあります。特に公務員でない指導者は国家賠償法の対象外となりますので、責任と賠償を負うこととなります。指導者が安全に留意することは自分の身を守ことにも繋がります。

最低限の安全配慮

スイミングスクールでは事故が死に直結しますので、安全配慮が徹底されています。民営の営利団体が行うものですから当然といえば当然ですが、無償奉仕の指導者や学校の教員であってもできる限りの安全配慮を行わなくてはなりません。

  1. コートや設備のチェック
    ・コートが極端に滑りやすく(滑りにくく)なっていないか
    ・コートに異物が落ちていないか
    ・ネットのワイヤーが切れかかっていないか
    ・コート周辺にマットや跳び箱が出しっぱなしになっていないか
  2. 服装などのチェック
    ・運動に適した服装か
    ・危険な指輪などを着けていないか
    ・靴紐はほどけていないか
  3. 怪我・事故防止のための申し合わせ
    ・体調が悪いときや持病があるときは事前に申し出る
    ・プレー中に体調が悪くなったり怪我をしたとき(見かけたとき)はすぐに報告する
    ・バレーボールで起こりやすい怪我について注意を促す

上記はあくまでも例ですが、可能な限りの安全配慮が必要です。


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