先日、図書館に行った際、いかにも古そうな「バレーボール(大野武治
氏著)」という本を見つけたので借りて帰りました。
昭和36年発行ということですから、今から40年以上も前の技術書で
す。
日本におけるバレーボールは、大きく2度の転換期があり、最初は、
ミュンヘンオリンピックで松平ジャパンが行った「クイック&コンビバ
レー」、次にロサンゼルスオリンピックでアメリカ男子が行った「分業
制スペシャリストバレー」です。私たちが今一般的に行っているバレー
ボールは、この「分業制スペシャリストバレー」の流れを汲んでいます。
元東京ベルディ監督の吉田氏は、ロサンゼルスオリンピックから10余年
経て、ルールもめまぐるしく変わった今、「新しいバレーボールの創造」
が必要だと自著「バレーボール・基本から戦術まで」で述べています。
我々は先人たちが創造した技術や戦術を、何の疑問もなく習得し洗練す
ることで上達を目指していますが、「コンビバレー」や「分業制バレー」
といったモデルがなかった頃は、自分で、勝つためのバレーを創造する
しかありませんでした。
温故知新という言葉がありますが、40年以上も前に書かれた技術書を
紐解くことによって、新たなバレーボールの創造に結びつけばと思い、
現在にはない技術、特に攻撃時の技術を紹介したいと思います。
まず、攻撃は「キル」と「タッチ」に分類されます。「キル」はご存知
のとおりスパイクで、「タッチ」はあらかじめネット際に構えた前衛が
ネット上のボールを、叩いたり(ヒット)押したり(プッシュ)するのでは
なく、叩いて鋭角に落とす攻撃です。6章「キル」7章「タッチ」と章
を分けるほどですので、タッチ攻撃はかなり重要な攻撃だったようです。
「キル」は、現在と同じように「タイミング」と「ジャンプ」を重大な
2大要素としており、タイミングは「理屈ではなく不断の練習により自
然に体得されるものである」としています。現代のバレーは、トスが低
く速くなっているので、「このタイミングで」ということが出来ますが、
当時は助走の歩数もまちまちだったようで、タイミングは自分でつかむ
ものだったようです。
また、打つときの手の形は「いろいろな手の形があり、どれが良いか一
概には言えない」として、手を開く「パー」の形や、握りこぶしの「グー」、
手のひらの側面で打つ「チョップ」、パーの形から親指だけをいれた形、
影絵の狐のように指をすぼめる形などを写真で示しています。
格闘技において、張り手よりも、パンチやチョップのほうが痛いことか
らも分かるとおり、ボールと手の接地面積が小さいほうが、また、手の
柔らかいところよりも硬いところで打ったほうが、ボールに力を伝えら
れます。
ですから、今では奇抜にも思える「グー」や「チョップ」ですが、道理
から外れているわけではありません。ただ、どこに飛んでいくか分から
ないこと(レシーバーにとっては取りにくいのですが)、タイミングが狂
ったときに応用が利かないこと、また、ブロック技術の向上により、ス
パイカーは、ネットから離れてコースを狙って打つことが多く、ボール
にドライブをかける必要が出てきたことなどで、現在の「ミート」が主
流になったのだと考えられます。
現代のバレーでも、「グー」で打ったほうが効果的な場面があるかもし
れませんね。