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■総合型地域スポーツクラブ

■はじめに
企業がスポーツ活動から撤退して いるなか、休廃部ではなく、 企業から部を独立させ、地域総合型スポーツクラブを目指す新日鉄ブレ イザーズを例にあげ、地域総合型スポーツクラブについてお話します。

■堺ブレイザーズと総合型地域スポーツクラブ
新日鉄は先日、正式に、100%出資による「株式会社 ブレイザーズ スポーツクラブ」を設立し「堺ブレイザーズ」として、自治体・企業等 をはじめ全国のサポーターからの支援を求めながら、事業運営を行って いくことを発表しました。
文部省のスポーツ振興基本計画にある、総合型地域スポーツクラブを目 指すということで、バレー部以外の野球・ラグビーなど7つの部も順次 移動させていくそうです。

文部省白書の「我が国の文教施策」によると、総合型地域スポーツクラ ブとは、主にヨーロッパ諸国等に見られる地域のスポーツクラブの形態 で、地域住民が自主的に運営し、子どもから高齢者、障害者までの様々 なスポーツを愛好する人々が参加できる総合的なスポーツクラブとして おり、以下の特徴を要件としてあげています。

(1)単一種目だけでなく、複数の種目を行っている。
(2)青少年から高齢者、初心者からトップアスリートまで、様々な年齢、 技術・技能を有する者が活動している。
(3)活動拠点となるスポーツ施設・クラブハウスを有しており、定期的・ 計画的なスポーツ活動の実施が可能となっている。
(4)質の高いスポーツ指導者を配置し、個々のスポーツニーズに対応し た適切な指導が行われる。

これに対しブレイザーズスポーツクラブは、その会社理念として、 「バレーボール以外のスポーツも含め、競技スポーツと生涯スポーツの 両分野で、子供から大人まで、男女の隔たりなく楽しめるような総合型 スポーツクラブ構想に取り組みます。」としているので、ゆくゆくは 上記文部省のあげる要件を満たす総合型地域スポーツクラブを目指すこ とと思われます。

■総合型地域スポーツクラブ
これまで、の日本のスポーツは学校と企業が支えてきましたが、学生の クラブ離れや、卒業後のバーンアウト(燃え尽き)症候群、企業のスポー ツ活動からの撤退などで競技人口は減り、やりたいと思っても活動する 環境が無くなってきました。
やりたくても出来ないというスポーツ愛好家の受け皿として、地元の住 民や企業が少しずつ資金を出し合い、自らスポーツ活動を行うクラブを 支え、その中のトップチームは興行や広告で収入を増やし、クラブハウ スや競技施設の開放、スポーツプログラムの開講、指導員の育成と派遣 などで地域に還元する。
まさに住民の住民による住民のためのシステムです。

■ヨーロッパの現状
ヨーロッパの多くの地域では、住民が自主的にクラブを運営し、老若男 女あらゆるレベルでスポーツを楽しんでいるそうです。
オランダを例にあげると、約1500万人の人口に対し、3万 6000のクラブ があるそうです。「おお!すごい数だ」と思われるかもしれませんが、 日本は1.3億人の人口に対し26万のクラブがあるといわれているので、 割合から言うとそれほど変わりません。
ただ、総人口あたりのスポーツ人口という面から見ると、オランダの約 29% (440万人)にくらべ、日本は約9%(1200万人)と、大きく水をあけら れています。これは、各クラブあたりの会員数が日本では少ないことを 意味しています。日本では単一種目のクラブがほとんどで、オランダで は複数競技種目のクラブが一般的です。また、日本と違い、高齢者がク ラブに所属していることも特徴です。
実際にプレーするだけでなく、審判やスタッフとして参加している方も 多いそうです。これらが、各クラブあたりの会員数が少ない原因です。

ところで、イタリアのプロサッカーチームのASローマ(中田選手が所 属していたところ)をご存知ですか? このASローマのASは、「Associazione Sportiva」の略で、「スポ ーツ協会」という意味です。この他に、SSラツィオというチームがあ りますが、SSは「Societa’Sportiva」で「スポーツクラブ」という 意味です。
名前からも分かるとおり、イタリアセリエAの多くのチームは、サッカ ー以外のスポーツもサポートしている総合型地域スポーツクラブです。 これらの有名なクラブは資金も潤沢で保有会員数も多く、スポンサーも つきやすいので、経営活動も金銭的な面では問題ないのですが、弱小ク ラブは資金繰りに四苦八苦しているそうです。

プロチームを持たない弱小クラブは、興行収入などがないので、スポン サー料・会費・クラブハウスでの飲食代くらいしか収入源はありません。 スポンサーといっても地元のスポーツ用品店が「ユニフォームくらい作 ってやるか」とかそんなもので、会費も月1000円弱程度が相場だそうな ので、500人のクラブでも 50万円にしかなりません。唯一利益を見込め るのがクラブハウスでの飲食代です。クラブハウスにはレストランとい うかカフェというか、そういう施設があります。ドイツではクラブハウ スにビアホールがありアコーディオン演奏が流れているそうです。
そこの売上はクラブの運営費に回されることを会員は知っているので、 積極的に練習や試合後にビールを飲んだり食事をしたりします。それで も資金は十分といえないので、足りないところはボランティアで補いま す。会場の整備や清掃、資格・技術を持っている人は審判やトレーナー など、有形無形に関わらず会員がクラブを支えているのです。

■日本の総合型地域スポーツクラブ
ヨーロッパの例を見ると、まず「自分たちがスポーツに参加する」とい うのが第一義だということが分かります。参加する人たちが自らの手で クラブを支えているのです。しかし、日本の場合は、企業から離れ、独 立採算制になっただけで、真の意味での総合型地域スポーツクラブには 程遠い形態です。つまり、企業から出されていた資金を「スポーツを観 戦する」人たちに負担させているだけなのです。
以下に総合型地域スポーツクラブといわれる3チームの市民出資者の例 をあげてみます。

【堺ブレーザーズ(バレーボール)のソシオ会員】
年会費:1口・10500円
特典
1)会員証と入会記念グッズ(ピンバッジとクリアファイル他)
2)カレンダーの無料配布
3)イヤーブックと定期刊行誌(年2〜3回)無料送付
4)ソシオ会員のつどい(年1回)その他の催しにご優待
5)ブレイザーズグッズの会員特別価格でのご購入
6)公式試合、招待試合、その他の試合の入場券の優先ご購入
7)ソシオ会員ボード(体育館内)にご芳名を掲載

【HC日光アイスバックス(アイスホッケー)の後援会】
会費:一口/10、000円
特典
1) 2000年イヤーガイド
2) 後援会会員証
3) 後援会特製カラーメガフォン
4)定例会抽選会参加権(月1回1権利/口数)
5)アイスバックス・カレンダー
6)ステッカー・シート
7) アイスバックス・チームスポーツバッグ(選手使用と同モデル)
8) オプションA : サイン入り写真パネル
オプションB : アイスバックス・チームコート(選手使用と同モデル)
9)本拠地開催ゲームVIPラウンジ利用権(2名様)
11) 本拠地開催ゲームひざ掛け無料貸出(1枚)
12) 本拠地開催ゲーム駐車場整理券(1台分)

【横浜FC(サッカー)のソシオ会員】
会員権30,000円
特典:
1)ホームゲーム年間シートを購入する権利があります
2)会員を対象に開催される催しに参加できます
3)定期的に会報をお届けします
4)会員のみに販売される限定商品
5)インターネットを駆使して情報サービスを行います
6)ソシオ協力店での特別割引
7)ホームゲームチケットの特別割引

以上3例に見られるように「スポーツへの参加」に対する会費ではなく、 選手のカレンダーをくれたり、観戦チケットが安く買えたりと、「スポ ーツを観戦する」ことに対する付加価値を販売しているいわばファンク ラブに過ぎません。

先週、Vリーグのチームを維持するのに3億〜5億円かかるとお話しまし たが、その半分を企業スポンサーや関連グッズの販売等で賄うとしても 1万5千〜2万5千人の会員が必要です。実際、上で紹介した日光アイスバ ックスは、後援者とスポンサーだけでは支えきれず解散を発表しました。

ヨーロッパの総合型地域スポーツクラブにもファンクラブ的な制度はあ りますが、基本的には地域住民による参加型の会員がクラブを支えてい ます。

■日本の総合型地域スポーツクラブを目指す取り組み
前項で見てきたのは、プロスポーツやアマチュアのトップレベルのチー ムを抱えるクラブのお話でしたが、日本でも、地域住民が自らのスポー ツ活動のために自主的に育成・運営し、「できる限り会員による会費収 入やクラブの収益で運営しよう」という方向性で実際に動き始めている ところもあります。

文部省では平成7年よりモデル事業として、16地域のクラブに補助金を 出しバックアップしています。200人〜3000人の会員規模で、競技種目は 7種目〜33種目、年会費は0円〜3000円と小さいところから大きいところ までまちまちです。

モデル事業の他にも、様々な形態で総合型地域スポーツクラブの育成が 取り組まれています。地方公共団体が独自のモデル事業を行っている場 合や、Jリーグ参加チームによるもの、体育協会によるスポーツ少年団 を核としたものなどがその例です。
どのクラブもそれなりに問題を抱えているようですが、真の総合型地域 スポーツクラブを目指し努力しています。

■日本の総合型地域スポーツクラブの問題点
(1)拠点がない
さきほど上のほうでお話した通り、ヨーロッパのクラブにはクラブハウ スが必ずあり、ここを活動拠点としています。文部省の定義にもクラブ ハウスを有することが要件としてあげられています。しかし日本では学 校施設を利用してクラブ運営を行うところが多く、実際にクラブハウス を持っているところはほとんどありません。文部省のモデル事業認定の ため、使っていない教室をクラブハウスとしているところさえあります。 練習や試合の後クラブハウスでビールを飲むドイツなどと比べると貧相 な感は否めませんね。

「文部省が推進する生涯スポーツの実現に向けて総合型地域スポーツク ラブを運営するのだから、行政もクラブハウスくらい建ててくれよ」と 思うところですが、公的資金の投入については「一部地域の一部団体の ために施設を作るのはいかがなものか」ということで、行政はその重要 性を認めても重い腰を上げられません。そこで、期待されているのがP FIとNPOです。
PFIとはプライベート・ファイナンス・イニシアチブの略で、正式名 称を民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律と いい、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して、公共施設等の 建設、維持管理及び運営の促進を図る手法です。NPOはノンプロフィ ット・オーガナイゼーションの略で、非営利活動を行う民間組織法人、 いわば有償無償のボランティア会社みたいな物です。この二つがクラブ ハウス設立とどう関係するかというと、総合型地域スポーツクラブをNP Oにより法人化し、PFIに基づきクラブハウスを設立、NPOたるク ラブと行政がそれぞれの役割を果たしながらクラブ運営を図るというも のです。

まあ、あくまでも机上の論理ですから、そううまくことが運ぶとは思え ませんが、少なくともクラブはNPOにより法人化し税制の優遇や、 資金を集めやすくすることと、市民が自主的にと言いながらも、行政と 協力しながら運営していく必要はあると思います。

(2)学校スポーツとの兼ね合い
例えば、「春高バレーをどうするのか」という問題があります。 地域のクラブで活躍している高校生は春高バレーに出られません。また、 同じく、クラブで野球をしている人は、春夏の甲子園に出場できません。 これは、現実にサッカーの世界ですでにおこっていて、Jリーグのユー スチームに入っている人は、全国高校サッカー選手権大会に出場できな いのです。
サッカーの場合は、Jリーグの下部組織ということでプロへの道が用意 されているということで全国高校サッカー選手権大会はあきらめられる にせよ、野球やバレーの場合は春高や甲子園に出場することがプロへの 最短の道です。このあたりを解決しなければ、地域クラブから中高生が いなくなるといった事態も予想されます。

■おわりに
総合型地域スポーツクラブは、ヨーロッパの歴史の中で生まれたひとつ の文化です。これを企業スポーツが危ういからといって、急に日本に持 ち込んでもうまくいくとは限りません。
高い理念を持った総合型地域スポーツクラブでも解散するところが出て くることでしょう。それでも、試行錯誤を繰り返しながら、「日本型総 合型地域スポーツクラブ」を模索する必要があります。
どこに住んでいても歩いていける距離に(小学校などの)体育館やグラン ドがあるのは日本だけだそうです。
やはり、スポーツ振興のカギを握るのは地域だと思います。



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